豊川から台湾へ。超個性アートが海を越えた日

豊川から台湾へ。超個性アートが海を越えた日

台湾で展示をする。
この一言の裏には、準備、緊張、そして「本当に届けたい」という願いが、いくつも折り重なっています。今回の台湾展示は、日本・愛知県豊川市を拠点に、障がいのあるアーティストの作品をプロデュースしている株式会社abilityと、就労継続支援B型事業所 Art Support Grace による海外展示企画です。
私たちが大切にしているのは、「障がい=できないこと」ではなく、「一人ひとりの超個性」として表現を捉えること。カラフルで力強い作品を通して、その魅力と生き方に触れていただくことを目的に活動しています。

 

「超個性 Art 展 in 台湾」概要

今回の展示は、台湾・桃園の 77 藝文町(Taoyuan 77 Art Zone) を会場に開催します。会期は 2025年12月13日〜2026年2月15日

イベントとしての展示会は 12月13日〜14日の2日間、その後 12月15日〜2月15日 まではポップアップ形式で絵画販売を行います。

出展は、Art Support Grace 所属アーティスト 約5名。平面・立体あわせて 約20点 を展示し、一部は販売も予定しています。

展示に込めた想い:福祉の利用者ではなく、“尊敬されるアーティスト”へ

株式会社abilityは、作品の展示・販売を通じて、アーティストが“福祉の利用者”ではなく“アーティストとして尊敬される存在”になることを目指して活動しています。

台湾展示について まとめ

そして今回の台湾展示は、アーティストにとっても、abilityにとっても、「福祉」と「ビジネス」と「アート」をつなぐ大きな一歩です。

台湾展示について まとめ
“障がいがあるから”ではなく、“この表現が好き”と言ってもらえる出会いを、海の向こうで増やしたい。そんな願いから、この挑戦が始まりました。

作品について:超個性が並ぶ、ひとつの世界

展示するのは、鮮やかな色彩と独自の構図で描かれた抽象画、物語性のある人物画、思わず笑顔になるキャラクター作品など、多彩なスタイルの「超個性アート」。
abilityが作品を選定・構成し、インテリアとしても楽しめるラインアップにしています。

一部作品は会場で販売予定で、その収益はアーティストの収入や、今後の創作活動・海外挑戦の継続につながります。

出展アーティストについて:「好き」を原動力に、日々描く

出展するのは、豊川市の就労継続支援B型事業所「Art Support Grace」に通うアーティストたちです。
自閉スペクトラム症、知的障がい、発達障がいなど、さまざまな特性を持ちながらも、それぞれが「好き」を原動力に作品づくりに取り組んでいます。
その作品を社会に届ける役割を担っているのが、株式会社abilityです。

日本文化体験:狐のお面絵付けワークショップ

会期中は、日本文化体験として 「狐のお面絵付けワークショップ」 も開催します。

予約不要・当日参加OK。お子さまから大人まで、15〜30分ほどで気軽に楽しめる内容です。

スタッフがサポートしながら、日本の狐文化や、豊川市のシンボル「豊川稲荷」についても簡単に紹介します。
アートを楽しみながら、日本と台湾の文化が交わる“小さな交流の場”になればと思っています。

海外という舞台が生んだ、家族の言葉

台湾展示の知らせは、特にご家族がとても喜んでくださいました。
ある作家のおばあちゃんが、「孫の絵を台湾に持っていってくれてありがとう」と感謝を伝えてくださったこともあります。

海外という舞台は、家族の会話を増やし、作家を褒める機会を生み出し、社会的な地位の確立にもつながっていく。私たちは今回、その手応えを確かに感じています。

この挑戦を支える「応援カレンダー2026」について

今回の台湾展示に向けて、Art Support Grace所属アーティスト12名が参加する 『応援カレンダー2026』 の販売もスタートしました。
1冊の購入につき 1,200円 が、台湾展示の画材購入費・輸送費・運営費などの作家支援に使用されます。

この挑戦は、展示のためだけではありません。
アーティストが誇りを持って生きられる道を、少しずつ増やしていくための一歩です。

台湾で、超個性アートは受け入れてもらえるのか——不安が確信に変わった2日間

台湾で展示をすることが決まってから、ずっと心のどこかにあり続けた不安がありました。
「台湾で、障がいのある方のアートは受け入れてもらえるのだろうか」という不安です。私たちが扱っているのは、いわゆる“福祉作品”として消費されるためのアートではありません。
障がいの有無に関係なく、作品そのものの魅力で選ばれ、好きになってもらうこと。
その出会いを、海の向こうでもつくりたい——そう願って台湾に立ちました。

会場で起きたこと:不安がほどけていく感覚

実際に現地で来場者の方と話してみると、その不安は少しずつほどけていきました。
むしろ、多くの方が作品に対してまっすぐに興味を示してくださり、
「どうしてこの色なの?」「この発想はどこから来るの?」と、作品そのものを丁寧に見てくれたのです。

「障がいがあるから」ではなく、“表現として面白い・惹かれる”という反応。
その瞬間に、私たちが届けたかったものが、ちゃんと届いている実感がありました。

とくに反応が大きかった作品:北斎と芸者をオマージュした世界

中でも印象的だったのは、**葛飾北斎の『富嶽三十六景』**や、芸者の絵画をオマージュした作品への反応です。

作品の前で長い時間立ち止まり、眺め続け、離れない方がいました。
短い「きれい」「かわいい」では終わらず、じっと見つめて、何度も細部に目を向けてくれる。
その“鑑賞の深さ”に、こちらの心が動かされました。

オマージュ作品は、台湾の方にとっても親しみやすい「日本文化」の入口になったのだと思います。
でもそれ以上に、作家の表現が、単なる引用ではなく**“その人の世界として再構築されていた”**からこそ、足が止まったのだと感じています。

「本当に気に入ってくれた」と実感できた場面

嬉しかったのは、反応がその場だけで終わらなかったことです。

  • 2日連続で足を運んでくれた方
  • 友人に紹介して連れてきてくれた方
  • 「これ、家に飾ったら毎日元気が出そう」と話してくれた方

展示会場で起きたひとつひとつの出来事が、
「作品が、誰かの日常に入り込む入口になっている」
そう感じさせてくれました。

そして何より、そうした反応は、アーティスト本人にとって大きな力になります。
“遠い国で、自分の作品を好きになってくれた人がいる”
それは、次の一枚を描く理由にも、未来の選択肢にもつながっていくはずです。

海を越える挑戦は、作品の価値を試すことではなく、価値を届けにいくこと

今回の台湾展示は、私たちにとって「挑戦」でした。
でもそれは、作品の価値を“試す”ための挑戦ではなく、
作品の価値を“届けにいく”挑戦だったのだと思います。

障がいがあるから特別扱いしてほしいわけではない。
ただ、作品として、表現として、まっすぐに見てほしい。
その願いに、台湾の方々は真正面から応えてくれました。

 

応援アートカレンダーで支えてくださった皆さま、そして日頃から応援してくださっている皆さま、本当にありがとうございます。

皆さまの力があって、作品を台湾に届けることができました。

この出会いを次につなげ、これからも“超個性”を丁寧に届け続けていきます。